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塚越くん、24歳

6人部屋の、小猿の向かい側のベッドには、塚越くんという24歳の方がいました

いつもは、カーテンを開けて、みんなと楽しそうにお喋りする元気な男子でした

膝が悪いとかで、松葉杖を使っていました


ある日、面会に行くと、塚越くんのベッドはぐるりとカーテンを閉めていました



外泊中・・?  こっそり小猿に聞くと



違う、こいさ  小声で、嘔吐するジェスチャーをしました



なんしたと?  再度小声で聞くと



治療したと   小声で言い、何かジェスチャーをしますが、解りません



うん、うん   と頷いて話は止めました



そして、いつものように世間話をしたり、同室の患者さんと話したりしていました

暫くして、塚越くんのカーテンがシャーッと開き



奥さん、こんにちは、すいません、挨拶が遅れました!



あぁ、こんにちは、具合の悪かと?



いいえ、もう大丈夫です!



笑顔で元気に答えると、私たちの話しに加わり、楽しくお喋りをしていました



みんなで、いろいろな話しをしていましたが、突然塚越くんが



奥さん、すいません、失礼します、またです、すいません



と言い、カーテンを閉め切ると、嘔吐しはじめました



おぇっー、おぇっー  と部屋に響きます



ナースコールせんでよかと?  小猿にこっそり聞くと



よかと   小猿は口パクで答え、隣の患者さんに同意を求めるような仕草をします



暫く嘔吐していました

部屋の患者さん達は、普通に会話を続けようとしているようでした


嗚咽が止まり、うがいをする音がして、暫くすると、またカーテンが開き、洗面器を持った塚越くんが片方だけ杖を持ち歩いて部屋を出ようとしました



大丈夫や?  小猿が声を掛けたので、私はすぐに洗面器を持とうとしました



大丈夫です、ちょっと洗って来ますけん  笑顔で塚越くんが言うので手を戻しました



片手に洗面器、片手に杖で、洗面所まで行ったようです



今日から抗がん剤ば始めたとさ   小猿が小声で言いました



抗がん剤?



膝の悪性腫瘍げな・・・



私も、残り5人の患者さんたちもシーンと静かになりました



どうも~、すいません



塚越くんが、元気に戻って来ると、みんなはまた大きな声で喋り始めました



当時の長崎市は、難病や、重症の患者さんは殆ど大学病院に入院していました

なので、悪性腫瘍の患者さんがいても不思議ではないのですが、塚越くんは昨日まで何の病気か解らない程元気で、新入りの小猿や、私にも積極的に話しかけてくれていたので



そうか、ここは大学病院たいね・・・  私は改めて思いました



私の表情で気付いたのか、塚越くんが言いました



今日から3クール目ですけん、気にせんで下さい、もう慣れましたけん、飯の後に吐くとはもったいなかとですけどね、そん時は小猿さんから少し飯ば分けてもらいますけん!!



なんでおいや~!!



そしてみんなで笑いました



若くていい子なのにな・・・と可哀想に思ってしまい、慌てて、いやいや、良くなる良くなる、と心の中で思っていました


小猿の左隣には、バイク事故で下肢を粉砕骨折し、当時長崎大学病院が日本で初めて取り組む イリザロフ法という手術を受けた人、右隣には、小猿と同じ大腿骨頭壊死、向かいの両サイドは骨の奇形の術後の患者さんでした


術後の患者さん達は下肢全体を丸く囲む器具が直接骨を貫通して固定されていました


この中にいると小猿の病気が一番軽症に思えました


塚越くんは4クールまで抗がん剤治療をして、私達は術後リハビリのため転院したのですが、その時は小猿の荷物を運んでくれました


また片方の手術をする時は大学病院に戻るので、その時はお見舞いに来ます、と言ってくれていました


小猿のリハビリは失敗し、2か月で戻る事になるのですが、その間に塚越くんは亡くなったそうです


一番若く、一番元気だった塚越くんの死を知った時、小猿も私もショックでした


その後14年間に、仲良くなった入院仲間を何人も失って来ました


その度に、小猿は自分の病気よりも、仲間を失う事が辛いと言っていました

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No title

おばんです。
僕は今回を含め3度入院の経験がありますが
自分自身生命の関わる入院ではなく
入院した際同室の方が亡くなった・・・ということもありません。
入院すると改めて健康でいることのありがたさと大切さがわかります。
病院ですからいろんな病気や怪我などで
入院されるかたがいらしゃいます。
でも思うことは皆さんが健康を取り戻し普段の生活を送れることだけです。
複雑な場面にこれから遭遇するかもしれませんが
常にこの気持ちを持っていこうと思っています。

Re: No title

★じょにパパさん
こんばんは、コメントありがとうございます(*^_^*)

> でも思うことは皆さんが健康を取り戻し普段の生活を送れることだけです。

ほんとですね、私もそう思います。

私達、看護師も、患者さんへの看護計画を立てますが、予後不良でも、ゴールは、退院出来るです。

こんにちは♪

小猿さんも頑張っていたけど、一緒に闘う仲間を見送るなんて辛いですね。
私はおかげさまで入院した事もないので、本当にみりのこさんに共感できるか…と思うと自信はないですが、きっと、小猿さんも、辛かっただろうなぁと思いました。

Re: こんにちは♪

★うささん
こんばんは、コメントありがとうございます(*^_^*)

> 小猿さんも頑張っていたけど、一緒に闘う仲間を見送るなんて辛いですね。

そうですね、何人も見送ってきました。小猿にとっては同志ですからね・・(>_<)

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プロフィール

みりのこ

Author:みりのこ
みりのこのブログへようこそ☆
私は5年前に小猿(夫)を亡くし、まだ命日の時期には無気力状態になる弱虫です。
でも、そろそろ強くなりたいのです。
14年間の闘病生活を振り返り、小猿からのメッセージを見つけ、今後の人生を楽しく生きて行こうと思います。
よろしくお願いします。
コメントがありましたらmirinoko@gmail.jpまでどうぞ☆

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